特殊清掃で重要なのは「着眼点」現状復帰工事まで見据えた消臭対策の考え方

キシラデコール塗装

特殊清掃で最も大切なのは、単にマニュアル通りに作業することではなく、「着眼点」を持つことです。
ここでいう着眼点とは、単なる作業手順ではなく、全体像を理解して常識にとらわれない発想をする力のことを指します。
特に、特殊清掃の最終ゴールである完全消臭を目指すには、特殊清掃作業だけでなく、その後の現状復帰工事まで含めて考える必要があります
残置物撤去や特殊清掃作業を行う業者は多くても、現状復帰工事の段階まで視野に入れているケースは意外と少なく、これは大きな盲点です。この記事では、特殊清掃のあとで行う現状復帰工事について、不動産管理会社や家主様が知らなければならない注意点をお伝えいたします。

目次

そもそも完全消臭に必要な作業工程とは

完全消臭ですが、単体の作業でいきなり完全消臭できる訳でなく、複数の作業を組み合わせて完全消臭に導きます。

作業特徴評価
薬剤による洗浄薬剤によって能力が違う。
薬剤の選定には、様々なテスト経験が必要。

ヒートガンで炙る550度対応のヒートガンなら、ある程度は脂分を蒸発させられる
防臭コーティング
(塗装工事)
素材に液体が染み込んでいる場合でも効力が高い
素材に臭いが染み込んでいる場合でも効力が高い

薬剤の散布薬剤によって能力が違う。
薬剤の選定には、様々なテスト経験が必要。

オゾン脱臭使うオゾン脱臭機によって性能差がある。
オゾン脱臭機を設置する場所によって消臭効果が違う。
タイマーの時刻設定によって消臭効果が違う。

完全消臭までの全体の流れ

完全消臭は、特殊清掃の現場作業だけで達成されるものではありません。
実際には次のような流れで工程が進みます。

STEP
残置物撤去(遺品整理)

家賃債務保証の場合など、管理会社指定で行われる場合は実施されないこともあります。

STEP
特殊清掃

悪臭や害虫などの汚染を正確に処理します。

STEP
現状復帰工事

内装の美観回復だけでなく、臭気残存部分への対策も含めて行われます。

この構造を理解してはじめて、最終的な完全消臭に近づくことができます。

現状復帰工事で注意すべきポイントは防臭対策

特殊清掃の現状復帰工事は、見た目重視のキレイな仕上がりを求めて、ただクロスや床の張替えを行うだけではありません。
消臭という観点から見た工事工程の適切な順序や、最低限必要な作業があります。

消臭効果を高める塗装工程

現状復帰工事で行われる代表的な作業は「床工事」と「クロス張り」です。
しかし単にクロスや床を新しくするだけでは、木製の枠や柱に染み込んだ臭いは残ってしまいます。

そこで重要なのが、現状復帰の過程で行う防臭塗装です。

  • ドア枠
  • 窓枠
  • 框(かまち・入口周りの造作材)
  • クローゼット枠

これらの木部素材には臭気が入り込みやすいため、塗装による防臭処理が必要になります。
薬剤洗浄やオゾン脱臭をした後でも、塗装による封じ込め処理をすることで消臭効果が高まります。

塗装工事の順序も大事

防臭塗装は、クロスや床材の張替えよりも前に行うべきです。なぜならクロス張りのあとで塗装をすると、養生などの手間が増えてしまい…

  • 新しいクロスを傷つけるリスク
  • 余計な時間と費用

が発生してしまうからです。
したがって、塗装工程を先に済ませることが現場の効率と仕上がりの質を高めます。

玄関ドア枠をキシラデコールで塗装
トイレのドア枠をキシラデコールで塗装
窓枠をキシラデコールで塗装
ロフトをキシラデコールで塗装
玄関 框をキシラデコールで塗装
部屋へのドア枠をキシラデコールで塗装

防臭対策は「ビニールクロスの選び方」でも差が出る

特殊清掃の現場では、

  • 孤独死による死臭が染み込んだクロス
  • タバコのヤニで変色・劣化したクロス

を、新品へ張り替えるケースが多くあります。

しかし、ただ張り替えるだけでは十分ではありません。
防臭を意識したクロス選びが、とても重要です。

厚みのあるビニールクロスを選ぶ理由

防臭を重視するなら、薄手タイプではなく、厚みのあるビニールクロスを選びましょう。
厚手クロスには次のメリットがあります。

  • 下地に残った臭気を封じ込めやすい
  • 消臭効果を高めやすい
  • 下地の凹凸が目立ちにくく、仕上がりがきれい

薄いクロスでは、臭いが再浮上してくるリスクがあります。
だからこそ、素材の厚みは重要なポイントになります。

おすすめは サンゲツ の「あんしんシリーズ」

コストを抑えながら、防臭性と施工性を両立したい場合におすすめなのが、サンゲツの「あんしんシリーズ」です。

代表品番特徴
SP2524織物調のスタンダードな塩化ビニル樹脂系壁紙で、使いやすい定番タイプです。

あんしんシリーズの主な特徴

  • 厚みがある:下地の凹凸を拾いにくく、美しく仕上がります。防臭の観点でも安心感があります。
  • 種類:「厚無地タイプ」として多くのバリエーションがあり、物件に合わせて選びやすい仕様です。
  • 天井貼りにも安心:吹き付け塗装調のベーシックなデザインが多く、柄に方向性がありません。そのため、壁だけでなく天井にも施工しやすい設計です。

サンゲツのクロスは年代で品番が変わるので注意

特殊清掃現場で定番だったSP2324「あんしんシリーズ」は、カタログの更新に伴い以下のように品番が変更されてきました。

クロス品番年代
SP23242015-2017
SP21242017-2019
SP95242019-2021
SP28242021-2023
SP97242023-2025
SP2524最新 (2025-2027)

まとめ | 消臭のための全体像を大切にする

多くの特殊清掃員や業者は、「現状復帰工事は自分の担当ではない」と考えがちです。
しかし、現状復帰工事の内容や注意点を知ることは、完全消臭の成功につながります。

現状復帰工事を行うリフォーム会社は、消臭のノウハウを十分に持っていないことが多いため、特殊清掃員自らが

  • 消臭の考え方を伝える
  • 最適な工事内容を提案する

ことが重要です。自分の提携業者でない場合でも、適切な処理がされるよう協力する姿勢が求められます。

なお、これらのノウハウは孤独死現場に限らず、ヤニだらけでタバコ臭がある家の消臭作業や、犬や猫などの糞尿の臭いが強い家にて、特殊清掃のあとの現状復帰工事でも十分に役立ちます。

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この記事を書いた人

2008年より遺品整理・特殊清掃の業務に関わって今日までたくさんのノウハウを蓄積出来ました。2023年には清掃業界の先進国であるアメリカへ渡り、RSAで研修を受け【TCST】Trauma and Crime Scene Technician (特殊清掃)や【FSRT】Fire and Smoke Damage Restoration Technician (火災復旧)に関する『 IICRC 』の国際資格を取得しております。
記事を通じて私の想いが伝われば幸いです。

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